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    PCOS患者血清のLDHAとTPI1高値

    今回紹介するのは、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)における代謝異常の血清バイオマーカー探索をDIA(data-independent acquisition)プロテオミクスで行い、候補を同定・検証した研究です。8例のPCOS臨床サンプルと対照群の血清をDIA解析し、GOおよびKEGGによる機能解析を実施、さらに別コホート(PCOS 27例、対照23例)でELISA検証を行っています。

    結果として、計114種の差次的発現タンパク質(上昇37、低下77)を同定し、解糖系/糖新生経路に属するLDHAとTPI1がPCOSで有意に上昇していることを見いだしました。これら2因子はELISAでも高発現が確認され、血清バイオマーカーとしての可能性が示されました。本研究は、DIAプロテオミクスによるPCOSの分子病態解明と診断補助マーカー探索の有効性を示し、解糖系の攪乱がPCOSの代謝異常に関与しうることを示唆しています。なお、MS機種やLCメソッド、Evosepの使用有無については記載がありません。

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    副腎皮質腫瘍の比較プロテオミクス

    今回紹介するのは、副腎皮質腫瘍の分子機序解明を狙った比較プロテオミクス研究です。正常副腎(NHA)、副腎皮質腺腫(ACA)、副腎皮質癌(ACC)、そしてARMC5変異の有無で層別した原発性大結節性副腎皮質過形成(PMAH)を対象に、LC-MS/MSとバイオインフォマティクスでプロテオームを横断比較しました。合計7,350タンパク質を同定し、3,976を全サンプルで定量。差次的発現タンパク質(DEP)は、ACA対NHAで27、ACC対NHAで49、PMAH対NHAで81を検出し、ACC対ACAでは上方64・下方48のDEPを同定しました。PMAHではARMC5変異あり(PMAHw)対なし(PMAHwt)の差は最も小さく、上方12・下方4にとどまりました。

    さらに、ソウル大学病院の独立ACCコホートで検証し、全体類似度99.8%で有意な乖離は認められず、再現性の高いプロファイリングであることを示しました。正常副腎機能と腫瘍関連変化の両面に示唆を与える高品質データセットであり、疾患特異的なタンパク質シグネチャーに基づくバイオマーカー候補や治療標的の探索に資する基盤となることが期待されます。

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    DIAプロテオミクス横断解析の統計的品質管理

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    今回紹介するのは、DIAプロテオミクスにおけるクロスラン解析を統計的に強化する新手法、DreamDIAlignRです。DIAでは多重化MS2スペクトルをペプチド中心に解析しますが、従来ツールは単一ランの情報に基づくピーク同定に依存し、異質なデータセット間で定量の一貫性が崩れがちでした。解析後にピークや溶出プロファイルを合わせるMBR(match-between-runs)も広く使われていますが、多くはアドホックで、ピーク品質を統計的に管理できず、偽陽性や再現性低下の一因となっていました。

    DreamDIAlignRは、ラン間でのペプチド溶出挙動を統合し、深層学習ベースのピーク識別器とアライメントを組み合わせることで、一貫したピークピッキングとFDR管理付きスコアリングを実現します。最先端MBR法を凌駕し、ベンチマークデータセットで最大21.2%、がんデータセットで36.6%多くの「定量的に変化する」タンパク質を同定。既存のDIA解析ツールと互換なMBR実装として機能するため、ワークフローに組み込みやすく、DIA解析全体の信頼性と定量再現性の向上に寄与します。

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    インフルエンザ重症度関連血清プロテオーム

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    今回紹介するのは、インフルエンザ患者の血清プロテオームを網羅的に解析し、重症度を分ける宿主応答シグネチャーを描き出した研究です。ICU非入室の中等症とICU入室の重症例に加え、健常者と比較しつつ、従来の限られたマーカー測定を超えて6,000超のタンパク質発現を同時に追跡しました。さらに同一患者から得た血液細胞の刺激応答トランスクリプトームと統合することで、血中に現れる分泌型の宿主応答と細胞内遺伝子発現の関係を直接結び付ける設計になっています。

    結果として、感染者では脂質代謝、鉄代謝、クロマチンリモデリング、免疫シグナルといった経路にまたがる多数の差次的発現タンパク質が見つかり、これらの変化は重症例で一層増幅していました。特に免疫シグナリングや増殖・分化、代謝プロセスの活性化が重症で顕著で、マクロファージや好中球に関連する応答の強い関与が示唆されます。注目すべきは、血清で変動した多くのタンパク質が血液細胞側の差次的発現遺伝子としては上がっておらず、未記載のバイオマーカー群になり得る点です。加えて、血清プロテオームと血液細胞トランスクリプトームの間に多数の強い相関が見出され、血清タンパク質と細胞応答の因果関係を検証したり、新たな仮説を立てたりする出発点を提供します。これらの知見は、インフルエンザ重症化の生体指標探索や重症度層別化に資する基盤情報を与えるものです。

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    マナウス新型コロナ入院患者鼻咽頭プロテオーム

    今回紹介するのは、ブラジル・マナウスで最初の流行波(致死性の高いP1株出現前)に入院したCOVID-19患者の鼻咽頭スワブを対象に、LC-MS/MSプロテオミクスで生存例(8例)と死亡例(8例)を比較した研究です。死亡例のスワブでは1604種類、生存例では981種類のタンパク質が同定され、死亡群でより多様なタンパク質シグネチャーが検出されました。

    解析の結果、低酸素応答関連のHYOU1、内皮障害に関わるS100A10、さらにウイルス複製に関与するDDX1/17やXPO1が死亡例で潜在的なバイオマーカーとして示され、NOS2も死亡群にのみ検出されました。遺伝子オントロジー解析では、死亡群で分泌経路の破綻が示唆される一方、生存群で見られた防御応答パスウェイが死亡群では検出されず、死亡例では免疫系の崩壊を示すプロファイルが得られました。対照的に、生存例ではFN1、C4BPA、IGKV1-5など免疫防御に関わるタンパク質が上昇しており、効果的な抗ウイルス応答が反映されたと解釈できます。鼻咽頭スワブ由来のプロテオームから重症化の分子指標候補を抽出した点は、早期の重症度評価や病態理解に資する知見といえます。

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    光共生ヒメシャコガイ高温白化血漿プロテオミクス

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    今回紹介するのは、光合成共生を営むシャコガイ Tridacna crocea の熱ストレス応答を血漿プロテオームから読み解いた研究です。著者らは非致死的な血漿サンプリングを用い、iTRAQベースの定量プロテオミクスで熱ストレス条件下の宿主血漿タンパク質を網羅的にプロファイリングし、さらに5組織のトランスクリプトームと統合して、組織特異的発現や分泌因子が宿主—共生藻(Symbiodiniaceae)相互作用に果たす役割を評価しました。

    結果として、差次的発現を示した554種の宿主血漿タンパク質を特定し、免疫応答、レクチン媒介型認識、補体系コンポーネントの有意な濃縮が明らかになりました。特にC1qドメイン含有タンパク質やレクチンファミリーが一貫して攪乱され、共生維持から免疫防御へのシフトを示唆。これにより、T. crocea の白化に特徴的な血漿プロテオーム署名が描出され、先天免疫経路が熱ストレス下での宿主—共生藻ダイナミクス再編に関与することが示されました。非致死的血漿アッセイとプロテオゲノミクスの組み合わせは、シャコガイの健康度、ひいてはサンゴ礁の状態をスケーラブルにモニタリングする枠組みとして有望です。

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    前立腺がん因果関連血漿タンパク質同定

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    今回紹介するのは、前立腺がん(PCa)の因果的な蛋白質バイオマーカーと治療標的を人集団で同定するために、プロテオーム全体を対象にメンデルランダム化(MR)と共定位解析を用いた大規模研究です。著者らはまず、94,397例のPCa患者と192,372人の対照を含む2つの独立GWASのメタ解析から、JAZF1、PDILM5、WDPCP、EEFSEC、TNS3の5つの感受性候補座位を見出しました。続いて、deCODE Genetics(N=35,559、4,907種の血漿蛋白質)とUK Biobank Pharma Proteomics Project(N=54,219、2,940種の血漿蛋白質)のpQTLを遺伝学的インスツルメントとして用い、MRと共定位解析を統合。最終的に3,722種のヒト蛋白質を評価し、PCaリスクと関連する蛋白質を193種特定、さらにKLK3を含む20種は両コホートで再現され高い堅牢性を示しました。

    機能アノテーションでは免疫・炎症応答や細胞間相互作用経路が関与することが示され、ドラッガビリティ解析からHSPB1、RRM2B、PSCAなどがPCaの潜在的薬剤標的として挙がりました。既存診断の特異性の限界を補う因果的候補バイオマーカーの提示に加え、早期検出と治療開発に向けた分子標的の絞り込みに資する成果といえます。なお本研究は遺伝統計学と血漿プロテオームの統合に立脚しており、MS機種やLC条件の個別最適化ではなく、独立大規模コホート間の再現性で信頼性を担保している点が特徴です。

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    卵巣がん血漿バイオマーカー探索

    今回紹介するのは、卵巣がんの血漿プロテオミクスで超高感度な候補バイオマーカー探索に挑んだ研究です。著者らは、網羅的なDDAショットガンLC–MS/MSとターゲット指向のMRMに、AFM(原子間力顕微鏡)ベースの濃縮をMSに直結したAFM‑MSを統合し、従来法の検出限界を下回る感度を実現しました。この多プラットフォーム戦略により、卵巣がん進行に関与するタンパク質の拡張リストを血中から作成。MS機種名や具体的なLCメソッド、Evosep使用の有無は抄録では明記されていませんが、AFMによる前処理強化とショットガン/ターゲットの相補性を活かした設計が特徴です。

    主な成果として、計371種の関連タンパク質を同定し、その33%はAFM‑MSでのみ検出、26%はメタボロミクスとの関連から見出されました。既報の卵巣がん特異的マーカーに一致するものは6%で、手法の妥当性を裏づけています。さらにATRN、CPN1、APOF、TGM3、CRNNを含む9種の新規候補を提案。高豊度かつ炎症依存性の免疫グロブリン可変領域ペプチドは特異性が低い背景として再分類しています。候補群は血中で10^-12~10^-6 mol/Lの広い濃度域に分布し、本アプローチは従来のプロテオミクスの感度制約を乗り越え、他の多因子性疾患のマーカー探索にも展開可能であることを示しました。

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    肺動脈性肺高血圧症循環タンパク質生体指標

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    今回紹介するのは、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の循環タンパク質バイオマーカーを総覧し、技術動向と臨床的な使いどころを整理したレビューです。従来広く使われるBNPやNT-proBNPは特異性や変動の大きさが課題で、病態把握や早期診断には限界があります。本論文は、Apelin、Osteopontin、Endostatinなどの新規候補に加え、高スループットプロテオミクス(SOMAscan、Olink、質量分析ベースのアッセイ)がもたらした発見を比較し、技術間の感度・特異性や網羅性の違いを解説しています。質量分析ベースの手法についても俯瞰的に扱われていますが、個別のMS機種やLC条件、Evosepの使用有無には踏み込みません。

    主な知見として、LTBP-2、IGFBPファミリー、NET4、TSP2、FGF-23といったプロテオミクス由来の候補が、予後予測で優位性を示し、既存のリスク層別化を補完あるいは上回る可能性が示されています。一方で、アッセイ標準化やコホートの不均一性、再現性検証の不足といった橋渡しの壁も明確化されました。著者らは、プロテオミクスを画像診断やゲノミクスと統合するアプローチを提案し、PAHの精密診断と個別化治療の実装に向けた実用的な道筋を示しています。

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    LCMS代謝物参照ライブラリ作成支援

    今回紹介するのは、非標的メタボロミクスにおける同定のボトルネックを緩和するための半自動ツール「metScribeR」です。標準品を用いた保持時間(RT)情報つきの自家製ライブラリは、大規模なMS/MSスペクトルリポジトリを補完しますが、作成に手間がかかります。metScribeRはRパッケージとShinyアプリとして実装され、ピーク検出、フィルタリング、包括的な品質レビューを直感的なUIで支援し、RTとm/zのライブラリ化を加速します。特徴的なのは、MS/MSスペクトルを必須とせずにアダクトごとの同定確率を推定できる点です。

    ベンチマークでは、標準品1種あたり約10秒の計算・操作で処理でき、手動アノテーションとmetScribeRのRTは相関係数0.99と高く一致し、品質の低いピークは適切に除外されました。出力はID、m/z、RT、ピーク品質情報に加え、MassBank of North Americaから取得したMS/MSスペクトルを含むCSV形式で提供されます。オープンソースとして公開されており、LC–MSの自家製リファレンスライブラリ構築を効率化することで、非標的データの解釈と化合物同定の実務を実用的に後押しします。なお、特定のMS機種名やLCメソッド、Evosepの使用については本報告からは読み取れません。

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