今回紹介するのは、TgF344-ADラットを用いて脳・髄液・血漿を横断的にLC-MSで解析し、アルツハイマー病の進行段階に応じた代謝シグネチャーを描き出したメタボロミクス研究です。前頭皮質と海馬の脳組織、脳脊髄液、血漿を対象に、7カ月齢ではTgF344-AD(雄)8匹と野生型8匹を比較し、4つのマトリクスで計710種の分析的に堅牢な代謝物を特定しました。さらに同様の手法を22カ月齢のラット12匹にも適用し、疾患の早期と進行期をまたいだプロファイル変化を評価しています。
結果として、早期(7カ月齢)と進行期(22カ月齢)で、中央(脳)と末梢(髄液・血漿)のいずれにおいても代謝プロファイルと変動する経路が異なることが示されました。7カ月齢では主にアミノ酸代謝と脂質代謝の乱れが際立ち、22カ月齢ではアミノ酸・脂質に加えてヌクレオチド代謝にも及ぶ別様の指紋が現れます。これらの所見は、病期に応じた診断指標の探索や、ステージ特異的な治療戦略の設計に資する手がかりを与えるものです。なお、分析はLC-MSに基づくメタボロミクスで実施されていますが、特定のMS機種名やLCメソッド、Evosepの使用有無についての記載はありません。

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