イソブチレン好気分解プラスミドibc依存

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今回紹介するのは、Mycolicibacterium sp. ELW1がイソブチレン(IB)とジエチルエーテル(DEE)を好気的に分解する際に、プラスミド上のibc遺伝子が必要であることを扱った研究です。IB(気相10% v/v)またはDEE(最終5 mM)で培養した菌体を回収後、IB条件では1,5-ヘキサジイン(15HD)、DEE条件では1,6-ヘキサジイン(16HD)で1時間処理し、既報法に従って蛍光標識しました。標識試料と非標識対照を10% Mini-PROTEAN TGXゲルでSDS-PAGE分離し、近赤外蛍光で可視化後にクーマシー染色、バンドを切り出してインゲル消化。LC-MS/MSはThermo UltiMate 3000に接続したExploris 480で90分のData-Dependent Acquisitionを用い、Proteome Discoverer 3.1でMycobacterium sp. ELW1参照プロテオーム(5,850配列)とコンタミDBに対して検索、タンパク質・ペプチドともに1% FDR、最少2ペプチドでフィルタリングしています(Evosepは不使用)。

蛍光標識バンド由来のタンパク質同定により、IBやDEEで誘導され、ジイン処理で捕捉される反応性タンパク質群が抽出され、ELW1の好気的IB/DEE代謝に関与する候補が絞り込まれました。厳密なFDR管理の90分DDAに基づく網羅的同定は、基質依存の標識パターンと発現差を信頼性高く比較する設計であり、タイトルが示すプラスミド上ibc遺伝子の関与を検証するうえでの生化学的手掛かりを提供しています。環境中でのIBやDEEの分解機構解明と、関連遺伝子群の機能アノテーションに資するデータセットといえます。

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