インフルエンザ重症度関連血清プロテオーム

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出典:論文ページ

今回紹介するのは、インフルエンザ患者の血清プロテオームを網羅的に解析し、重症度を分ける宿主応答シグネチャーを描き出した研究です。ICU非入室の中等症とICU入室の重症例に加え、健常者と比較しつつ、従来の限られたマーカー測定を超えて6,000超のタンパク質発現を同時に追跡しました。さらに同一患者から得た血液細胞の刺激応答トランスクリプトームと統合することで、血中に現れる分泌型の宿主応答と細胞内遺伝子発現の関係を直接結び付ける設計になっています。

結果として、感染者では脂質代謝、鉄代謝、クロマチンリモデリング、免疫シグナルといった経路にまたがる多数の差次的発現タンパク質が見つかり、これらの変化は重症例で一層増幅していました。特に免疫シグナリングや増殖・分化、代謝プロセスの活性化が重症で顕著で、マクロファージや好中球に関連する応答の強い関与が示唆されます。注目すべきは、血清で変動した多くのタンパク質が血液細胞側の差次的発現遺伝子としては上がっておらず、未記載のバイオマーカー群になり得る点です。加えて、血清プロテオームと血液細胞トランスクリプトームの間に多数の強い相関が見出され、血清タンパク質と細胞応答の因果関係を検証したり、新たな仮説を立てたりする出発点を提供します。これらの知見は、インフルエンザ重症化の生体指標探索や重症度層別化に資する基盤情報を与えるものです。

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