
今回紹介するのは、ディーゼル微粒子(DPM)が人間のさまざまな組織由来の一次細胞から作成された三次元スフェロイドに与える影響を調査した研究です。この研究では、8種類のヒト一次細胞から得られたスフェロイドを標準化されたDPM(SRM 2975)に曝露し、その生存率を測定した後、タンデムマスダグ(TMT)ラベリングを用いた液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)によるプロテオミクス解析を行いました。結果として、9,707種類のタンパク質が同定され、その中で128種類がDPM曝露に対して有意な変化を示しました。
特に、アポリポタンパク質A-I(APOA1)は高濃度のDPMにおいて顕著に増加し、36種類のリボソームタンパク質は低濃度でも減少が見られました。経路解析により、急性期反応シグナル伝達や肝臓X受容体/レチノイドX受容体(LXR/RXR)、ファルネソイドX受容体(FXR)経路が活性化されることが示されました。この研究は、DPMによる全身的な毒性の理解を深め、曝露レベルや健康リスクを評価するための潜在的なバイオマーカーの同定に寄与する重要な知見を提供しています。
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