今回紹介するのは、DIAプロテオミクスをバイオマニュファクチャリングの探索からプロセス管理まで位置づけることを目指し、複数価格帯のプラットフォームを横断比較した研究です。既存のシャーシ微生物である大腸菌K-12と、耐塩性のHalomonas bluephagenesis sp. TD01を対象に、1:2および2:1の混合比で作製したモデル試料を5種のLC-MSシステムで解析しました。timsTOF HT、Exploris 480、ZenoTOF 7600、Select Series MRTのデータはDIANNとMSstatsで、VionのデータはSkyline経由でMSstatsで処理し、DIA条件での実用的な性能を評価しています。
全サンプル合算で8,222タンパク質(大腸菌4,401、Halomonas 3,821)を同定し、1% FDRでの定量では、timsTOF HTとExploris 480がそれぞれ約5.5千および約5千と広いカバレッジを示し、ZenoTOF 7600が約3.5千、Waters Select Series MRTが約1.3千、レガシー機のWaters Vionが約850という結果でした。いずれの装置でもシャーシ生物のコア代謝経路を構成するタンパク質群を定量でき、プラットフォーム間でカバレッジに差はあるものの、代謝経路のモニタリングと生産プロセスに向けた操作可能性の評価に十分な情報が得られることを示しています。これにより、DIAプロテオミクスをバイオマニュファクチャリングのプロセス理解・制御に実装する際の現実的な選択肢が整理されました。

コメントを残す