ラクトバチルスクリスパタスの抗菌と心血管代謝機能

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今回紹介するのは、インド人女性の生殖路マイクロバイオータから分離されたLactobacillus crispatusの抗菌機能と代謝機能、さらに肝・心代謝疾患への保護的役割を多角的に追究した研究です。60株の中からゲノムマイニングに基づいて選抜した3株について完全ゲノム配列を取得し、抗菌ペプチド(バクテリオシン)産生、乳酸生成、短鎖脂肪酸合成、生体アミン産生といった生合成経路を描出しました。抗菌活性は寒天ウエル拡散法とタイムキルアッセイで、消化管環境への適応性は強酸(pH 2)および胆汁塩(0.3%)耐性試験で評価し、さらに高脂肪食誘導の前臨床マウスモデルで抗脂肪肝作用と心代謝保護効果の可能性を検討しています。

主な結果として、3株の完全ゲノムからは複数の抗菌ペプチド生合成クラスターが見出され、未報告のバクテリオシン関連遺伝子座も含まれていました。代謝プロファイリングでは胆汁酸代謝、葉酸生合成、短鎖脂肪酸産生に関わる経路が同定され、無細胞培養上清はEscherichia coli、Enterobacter hormaechei、Staphylococcus aureus、Staphylococcus haemolyticusに対して広域の抗菌活性を示しました。加えて、pH 2および0.3%胆汁塩に耐える性質は経口投与可能性を示唆します。これらの所見は、L. crispatusが粘膜恒常性の維持と病原体排除に加え、代謝面でも有用な機能を備えることを分子的に裏づけるものであり、今後のプロバイオティクス開発や心代謝リスク低減への応用検討に資する基盤データといえます。

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