
今回紹介するのは、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)に対する抗ウイルスペプチド(AVP)をデータ駆動で探索した研究です。健常およびPRRSV感染の肺・小腸・大腸組織からプロテオミクスでタンパク質とペプチドを定量し、差次的発現のスクリーン後にGO、KEGG、COG、PPI解析で機能的評価を実施。得られたペプチドに対し、アミノ酸組成、二次構造、親水性といった物性に基づく特徴量を用いて、ランダムフォレスト(RF)、サポートベクターマシン(SVM)、さらに本領域で初適用となるグラフニューラルネットワーク(GNN)でAVP予測モデルを構築し、5分割交差検証で性能を検証しました。
結果として、特徴重要度ではリシン、アルギニン、ロイシンが高く(いずれも約0.1)、相関ではリシンとグルタミン酸が最も強い正の関係(0.57)を示しました。性能評価ではRFがAUC 0.95で最良、GNNとSVMはいずれもAUC 0.94と同等水準で、モデル間で高い予測力が再現されました。本研究は、PRRSVに対するAVP候補を網羅的なプロテオミクスと機械学習で絞り込む実用的フレームワークを提示し、物性と残基組成に基づく予測の有効性を示すことで、今後の候補選定と実験検証の効率化に資する基盤を提供します。

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