小児喘息IL33免疫代謝機構

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今回紹介するのは、小児喘息におけるIL-33と免疫代謝の結びつきを多層オミクスで解剖した研究です。医師診断の喘息児60例を血清IL-33高・低で層別化し、マッチドサブセットでアンターゲット血清脂質オミクス(n=6対6)とラベルフリー血清プロテオミクス(n=6対6)を実施、Benjamini–Hochberg法でFDR制御後にKEGG経路解析とクロスオミクス統合を行いました。喘息コントロール質問票(ACQ)、総IgE、好酸球割合との関連はSpearman相関で評価し、NF-κB/Th、cAMP、エンドサイトーシス経路の交差点についてはqPCRパネル(RELA, NFKBIA, GATA3, TBX21, PRKACA, STAM2, SPHK1, LIPE, 付加でADCY6, S1PR1, ACAA1)で検証しました。

IL-33高群ではACQ上昇と総IgE・好酸球増加を示し、脂質オミクスでは膜指向のリモデリングが顕著で、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、カルジオリピン(CL)が増加し、スフィンゴミエリンが相対的に減少、NF-κBシグナル、Th1/Th2/Th17分化、脂肪分解調節が富化しました。プロテオームではエンドサイトーシス、ESCRT/小胞輸送、アクチン/細胞骨格、cAMPおよびスフィンゴ脂質シグナルの上方制御が並行して観察され、層横断の経路重なりと相関解析は、IL-33に関連する免疫代謝経路へ脂質とタンパク質の変動が収束することを示唆しました。qPCR検証もこれら交差経路の関与を支持しており、IL-33に結びつく膜脂質リモデリング—小胞/シグナル経路—下流免疫活性化という軸が、小児喘息のコントロール不良とアトピー負荷に関連する可能性を示します。

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