抗体の単クローン化技術革新

今回紹介するのは、ポリクローナル抗体(pAb)をモノクローナル抗体に変換するためのプロテオミクス駆動アプローチに関する研究です。ポリクローナル抗体は、診断や研究において抗原特異的実験に欠かせない試薬ですが、バッチ間の変動や動物使用の継続が問題となっています。この研究では、ポリクローナル混合物内の優勢な抗体形態の配列を決定し、再現性のあるモノクローナル抗体混合物を開発することを目指しています。具体的には、REpAb®ポリクローナルシーケンシングプラットフォームを用いて、既存の配列情報やデータベースに頼らずに、精製されたポリクローナル混合物から抗体を完全にde novoでシーケンスしました。

方法としては、まず精製されたポリクローナル混合物を多酵素消化し、短く重複するペプチドを生成しました。その後、Orbitrap EclipseTMシリーズの質量分析計とLC Evosep Oneを用いて、ミドルダウンおよびトップダウン質量分析法でこれらのペプチドを解析しました。得られたデータはタンデム質量分析(MS/MS)によってde novoでシーケンスされ、機械学習を用いたバイオインフォマティクスで重鎖と軽鎖の正しいペアリングを行い、完全な抗体鎖に組み立てました。その結果、ポリクローナル抗体混合物内の優勢な抗体形態を基に、再組換えモノクローナル抗体として発現させることに成功しました。これらの再組換えモノクローナル抗体は、中ピコモルから低ナノモルの範囲での親和性を示し、元のポリクローナル抗体と比較しても同等の活性を持つことが確認されました。このアプローチは、臨床研究や実験室医学における再現性を向上させる可能性があります。

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