死後経過推定のタンパク質分解指標

今回紹介するのは、死後経過時間(PMI)の推定にプロテオミクスを用いる最新動向を俯瞰した系統的レビューです。2018~2024年に発表された40報をPRISMAに沿って整理し、ヒトおよび動物組織における時間依存的なタンパク質分解パターンの活用を評価しています。最も多く検討されたのは骨格筋で、続いて骨、心筋、歯肉などが対象となり、分析手法としてはLC-MSとMALDIが広く用いられ、時間経過に伴うプロテオームの変化の検出・定量が可能であることが示されました。レビュー全体として、実験条件や組織の違い、プロトコールの非標準化が大きなばらつき要因であり、MS機種やLC条件も含めて手法面の統一が不十分である点が課題として浮かび上がっています。

主な示唆は、プロテオミクスが高感度かつ高い特異性でPMI推定を支援し得るという点で一致しており、法医学への応用可能性が支持されたことです。一方で、広範な実装には、標準化されたワークフローの整備と、多マーカー戦略の統合による頑健性向上が不可欠とされました。本レビューは、LC-MSやMALDIを核とするプロテオーム解析が、適切な標準化と手法統合により、PMI推定を客観的で再現性の高いルーチン検査へと発展させ得ることを示しています。

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