
今回紹介するのは、唾液プロテオミクスを用いて胃がん(GC)の非侵襲バイオマーカーを探索した研究です。GC患者2群(n=12、n=13)と健常対照(n=11)の唾液を対象に、iTRAQによる網羅的定量解析を実施し、GO/KEGG解析やPPIネットワークで機能注釈を行いました。候補タンパク質は並列反応モニタリング(PRM)で検証し、予後との関連はKaplan–Meier生存解析で評価しています。
解析の結果、ユニークペプチドを持つ671種のタンパク質を同定し、対照比で各GC群でそれぞれ124種、102種の有意な発現変動タンパク質(DEPs)を検出、両群に共通する56種(上昇24、低下32)を抽出しました。機能的な濃縮解析とPRM検証からS100A8、S100A9、CST4、CST5の4種が一貫して差異を示し、特にCST4とCST5は唾液で低下する一方、GC組織や血液では上昇している点が示されました。これらの所見は、唾液由来のS100A8/S100A9/CST4/CST5がGC検出の非侵襲バイオマーカー候補となり得ることを示すとともに、唾液・組織・血液間の発現差を照合する重要性を強調しています。

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