非小細胞肺癌統合オミクス放射線応答予測

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出典:論文ページ

今回紹介するのは、非小細胞肺がん(NSCLC)細胞株における放射線感受性(2 Gy生存分率:SF2)を予測するために、トランスクリプトームとプロテオームを統合したバイオマーカー探索フレームワークです。RNA-seq(73系統)とDIA-MSによるプロテオミクス(46系統)を取得し、前処理後に共通の1,605遺伝子を解析対象としました。特徴選択は5分割クロスバリデーションを10回反復したLasso回帰に周波数ベースの順位付けを組み合わせて実施し、転写体単独、プロテオーム単独、両者統合の各特徴量でサポートベクター回帰(SVR)モデルを構築しました。RNAとタンパク質の発現は有意に相関し(中央値Pearson r=0.363)、独立パイプラインからは20の優先候補遺伝子シグネチャーが抽出されています。

結果として、単一オミクスのモデルは他方オミクスへの汎化性能が限定的だった一方、統合モデルは両データセットでバランスの取れた予測精度を示しました(トランスクリプトーム側でR2=0.461、RMSE=0.120、プロテオーム側でR2=0.604、RMSE=0.111)。本研究はNSCLCにおけるSF2予測のための初のプロテオトランスクリプトミクス統合枠組みを提示し、転写制御と機能的タンパク質活性の双方を捉える併存バイオマーカーの価値を実証しました。DIA-MSを用いたプロテオーム情報を統合することで、機序の洞察と臨床応用可能性に資する、より汎用的な放射線応答予測が可能になることを示しています。

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