高悪性度卵巣癌のプロテオミクス解析

最新誌に「Proteomics profiling for the global and acetylated proteins of High-Grade Serous Ovarian Carcinoma」が報告されました。高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)は予後が悪い主要な卵巣癌の一種であり、プロテオミクスはHGSOCの理解に広く用いられていますが、アセチル化タンパク質の全体像は未だ不明です。この研究は、HGSOCの発癌メカニズムの理解や有用なバイオマーカーの同定に寄与することを目的としています。

研究では、病理学的に診断されたHGSOCの女性患者6名から得た混合抽出物を用い、timsTOF質量分析計を用いて全タンパク質およびアセチル化タンパク質の解析を行いました。解析の結果、腫瘍組織から356種類の差次的発現タンパク質(DEP)が同定され、そのうち124種類が上方制御、232種類が下方制御されていました。また、アセチル化タンパク質においては57種類の差次的発現アセチル化タンパク質(DEAP)が確認され、29種類が上方制御、2種類が下方制御されていました。これらの差次的発現タンパク質は主に代謝経路に関連しており、腫瘍において上方制御されていることが示されました。この研究は、全体的なタンパク質オミクスとアセチル化タンパク質オミクスを統合することで、HGSOCの発癌に対する新たな視点を提供し、診断バイオマーカー選定の新たな方向性を示すものです。

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