
今回紹介するのは、マウス10臓器にわたる加齢の分子動態を網羅的に描いたマルチオミクス研究です。脳・心臓・腸・腎臓・肝臓・肺・筋肉・皮膚・脾臓・胃から、4、8、12、20カ月齢の計400組織サンプルを収集し、プロテオームはDIAで、メタボロームは正・負イオンモードの双方で解析しました。差次的発現解析により、10臓器×4段階の年齢にわたって14,763のタンパク質群と3,779の代謝物を同定し、臓器横断的かつ臓器特異的な加齢変化を体系化しています。
主な所見として、Ighm、C4b、Hpxを含む18タンパク質が全10臓器で一貫した加齢関連変動を示し、機能解析では体液性免疫応答が年齢依存的変化の中核であることが示唆されました。さらに、Hp、Egf、Argなど年齢特異的に振る舞うタンパク質群が臓器別にマップされました。代謝物ではNAD+、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンなどが複数臓器で有意に変動し、プリン・ピリミジン代謝、リボフラビン代謝、ニコチン酸/ニコチンアミド代謝の恒常的な変化が検出されました。若年から高齢に至るまでの多臓器プロテオーム/メタボロームの包括的データセットとして、臓器間の連関と臓器特異的な加齢軌跡の理解に資する基盤を提供しています。なお、MS機種名やLC条件、Evosep使用の有無は抄録からは特定できません。

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