
今回紹介するのは、法科学領域におけるLC-MSベースのプロテオミクス応用を総覧したレビューです。タンパク質は安定で多様な試料に豊富に存在することから、個人識別の高度化や証拠解釈の精度向上に寄与します。本稿は、毛髪・骨・筋肉・血液・指紋などのヒト試料を対象に、民族・性別・生物学的年齢の推定、体液・組織のバイオマーカー同定、さらには死後経過時間(PMI)の推定まで、LC-MSを核としたタンデムMSやトップダウン/ミドルダウン/ボトムアップ解析の活用例を整理しています。また、違法ペプチド・タンパク質・ホルモンの検出によるアンチドーピング分野での有用性も強調されています。
一方で、PMI推定は依然として議論が多く、手法改良が求められる課題と位置づけられます。著者らは、感度・特異性を高める質量分析アプローチとバイオマーカー駆動の分析戦略を俯瞰しつつ、再現性と法廷での受容性を確保するための検証・標準化の必要性を明確化。現状の方法論とヒト試料ベースの応用、今後の展望を包括的にまとめ、法科学捜査と研究者によるプロテオミクスの堅牢な導入を後押しする内容になっています。

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