
今回紹介するのは、間葉系間質細胞(MSC)由来の細胞外小胞(EV)の治療効果が、MSCのクローン特性に左右されることを示した研究です。著者らは不死化したMSCクローンY201とY202を用い、超遠心でEVを回収し、ナノサイズ解析と超微細形態解析、ウェスタンブロット、質量分析プロテオミクスおよびmiRNAスクリーニングで特徴づけました。機能評価はERK1/2リン酸化、増殖およびT細胞極性化アッセイに加え、炎症性疾患のin vivoモデル2種で実施しています。
両クローンのEVは形態的には類似でしたが、Y201由来EVはEVバイオマーカー、miRNA、プロテオーム含量が豊富でした。計算解析によりY201 EVのプロテオームにはマトリックス関連タンパク質が有意に富み、RGD配列を持つフィブロネクチンやMFG-E8が多い“EVコロナ”の存在が示唆され、ウェスタンで確認されています。機能的には、Y201 EVのみが関節軟骨細胞の増殖を用量依存的に促進し、その効果は少なくとも一部がRGD(インテグリン)–FAK–ERK1/2経路を介していました。両EVサブセットは活性化T細胞の増殖指数を低下させましたが、炎症性疾患モデルにおける疾患活動性の抑制はY201 EVに限られました。これらの結果は、MSCのクローン性がEVの分子組成と生理活性を規定し、特にマトリックス由来のコロナが作用機序に関与することを示すもので、クローン選択とEV製剤の分子特性評価が臨床開発の鍵となることを示唆します。

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