今回紹介するのは、家畜や伴侶動物の疾病診断におけるバイオマーカーを総覧したレビューです。診断・予後・予測の各バイオマーカーを仕組みから整理し、臨床症状が遅発的・非特異的になりがちな動物医療で、分子指標が果たす役割を明確化しています。技術面では、ハイスループット・オミクスが中核で、プロテオミクスではLC-MS/MSやDIGE、メタボロミクスではNMRやLC-MS/MS、さらにゲノミクスのNGSやRNA-Seqが疾患特異的シグネチャーの発見に寄与すると述べています。加えて、CRISPR/Cas9、AI強化画像解析、アプタマー型バイオセンサー、マイクロ流体デバイスなどの新興技術が診断応用のポテンシャルを示すことが示されています。
実装例として、イヌ悪性黒色腫、牛呼吸器病複合(BRDC)、イヌの先天性門脈体循環シャントの症例が取り上げられ、分子指標が病態把握や早期検出に資する可能性が示されています。一方で標準化の不足、種差によるばらつき、臨床実装への移行の難しさといった課題も正面から指摘。総じて、本レビューはバイオマーカーの作用機序の理解と、LC-MS/MSを含む先端解析基盤の統合が、獣医診断の精度向上と疾病制御の前進に不可欠であると結論づけています。

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