今回紹介するのは、ヒストンの翻訳後修飾(PTM)を定量的に解析するプロテオミクス手法を扱った研究です。ヒストンは真核生物でDNAをヌクレオソームとして折りたたむ核内タンパク質で、アセチル化、メチル化、リン酸化など多様なPTMを受けます。これらはDNA複製や転写、クロマチン組み立てに不可欠で、がんを含む疾患発症に伴い大きく変動することがあります。例えば、H4K20のトリメチル化の消失やH4K16のアセチル化の変化は、特定のがんでの腫瘍マーカーとして知られています。
本研究は、抗体依存のウエスタンブロットやChIPなど従来法が抱える特異性・抗体入手性・コスト・検証の課題を背景に、質量分析(MS)にもとづく定量解析の開発と応用を示しています。MSは高い特異性と再現性をもち、単一の解析で幅広いPTMを同時に評価できるため、ヒストン修飾の網羅的な特徴づけと定量を可能にします。本論文は、こうしたMSベースの手法によって、疾患進展と結びつくヒストン修飾のダイナミクスを捉えるための有用な解析基盤を提供する点に意義があります。

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