一次性FSGSのプロテアーゼ恒常性異常

今回紹介するのは、原発性巣状分節性糸球体硬化症(pFSGS)の血清プロテオームをLC–MSで精査し、疾患特異的シグネチャーと病態機序の手掛かりを示した研究です。研究チームは、pFSGS 36例、他の蛋白尿性腎疾患33例、健常対照34例の計103検体の血清をLC–MSベースで解析し、見出した候補タンパク質を不死化ヒトポドサイト培養系で機能検証しました。さらに、ゼブラフィッシュ幼生での全身性ノックダウンと、患者腎生検および魚類切片での蛍光免疫染色により、蛋白尿や浮腫などの表現型と組織局在を確認しています。

結果として、pFSGSに特異的に変動する27種類のタンパク質が同定され、プロテアーゼとそのインヒビターの恒常性破綻が中核にあることが示唆されました。頻回再発を呈する若年pFSGS患者では、23種類のタンパク質からなる別個の血清プロファイルも明らかになりました。中でもSERPINA1(α1-アンチトリプシン)に注目し、尿中SERPINA1はネフローゼ症候群全般で上昇する一方、血清SERPINA1の低下はpFSGSに特異的であることを示しました。糸球体の硬化病変ではSERPINA1の局所発現が増加し、ポドサイトはSERPINA1を構成的に分泌するものの、プロテアーゼストレス下での適応は限定的でした。ゼブラフィッシュでのserpina1ノックダウンは浮腫と蛋白尿を誘発し、プロテアーゼ制御破綻がpFSGSの病態に関与することを支持します。これらの所見は、pFSGSの層別化やバイオマーカー開発、さらにはプロテアーゼ—インヒビター軸を標的とした治療戦略の設計に資する基盤データといえます。

▶ 論文リンク(外部)

Tags:

Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です