
今回紹介するのは、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の循環タンパク質バイオマーカーを総覧し、技術動向と臨床的な使いどころを整理したレビューです。従来広く使われるBNPやNT-proBNPは特異性や変動の大きさが課題で、病態把握や早期診断には限界があります。本論文は、Apelin、Osteopontin、Endostatinなどの新規候補に加え、高スループットプロテオミクス(SOMAscan、Olink、質量分析ベースのアッセイ)がもたらした発見を比較し、技術間の感度・特異性や網羅性の違いを解説しています。質量分析ベースの手法についても俯瞰的に扱われていますが、個別のMS機種やLC条件、Evosepの使用有無には踏み込みません。
主な知見として、LTBP-2、IGFBPファミリー、NET4、TSP2、FGF-23といったプロテオミクス由来の候補が、予後予測で優位性を示し、既存のリスク層別化を補完あるいは上回る可能性が示されています。一方で、アッセイ標準化やコホートの不均一性、再現性検証の不足といった橋渡しの壁も明確化されました。著者らは、プロテオミクスを画像診断やゲノミクスと統合するアプローチを提案し、PAHの精密診断と個別化治療の実装に向けた実用的な道筋を示しています。

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