
今回紹介するのは、光合成共生を営むシャコガイ Tridacna crocea の熱ストレス応答を血漿プロテオームから読み解いた研究です。著者らは非致死的な血漿サンプリングを用い、iTRAQベースの定量プロテオミクスで熱ストレス条件下の宿主血漿タンパク質を網羅的にプロファイリングし、さらに5組織のトランスクリプトームと統合して、組織特異的発現や分泌因子が宿主—共生藻(Symbiodiniaceae)相互作用に果たす役割を評価しました。
結果として、差次的発現を示した554種の宿主血漿タンパク質を特定し、免疫応答、レクチン媒介型認識、補体系コンポーネントの有意な濃縮が明らかになりました。特にC1qドメイン含有タンパク質やレクチンファミリーが一貫して攪乱され、共生維持から免疫防御へのシフトを示唆。これにより、T. crocea の白化に特徴的な血漿プロテオーム署名が描出され、先天免疫経路が熱ストレス下での宿主—共生藻ダイナミクス再編に関与することが示されました。非致死的血漿アッセイとプロテオゲノミクスの組み合わせは、シャコガイの健康度、ひいてはサンゴ礁の状態をスケーラブルにモニタリングする枠組みとして有望です。

コメントを残す