今回紹介するのは、ブラジル・マナウスで最初の流行波(致死性の高いP1株出現前)に入院したCOVID-19患者の鼻咽頭スワブを対象に、LC-MS/MSプロテオミクスで生存例(8例)と死亡例(8例)を比較した研究です。死亡例のスワブでは1604種類、生存例では981種類のタンパク質が同定され、死亡群でより多様なタンパク質シグネチャーが検出されました。
解析の結果、低酸素応答関連のHYOU1、内皮障害に関わるS100A10、さらにウイルス複製に関与するDDX1/17やXPO1が死亡例で潜在的なバイオマーカーとして示され、NOS2も死亡群にのみ検出されました。遺伝子オントロジー解析では、死亡群で分泌経路の破綻が示唆される一方、生存群で見られた防御応答パスウェイが死亡群では検出されず、死亡例では免疫系の崩壊を示すプロファイルが得られました。対照的に、生存例ではFN1、C4BPA、IGKV1-5など免疫防御に関わるタンパク質が上昇しており、効果的な抗ウイルス応答が反映されたと解釈できます。鼻咽頭スワブ由来のプロテオームから重症化の分子指標候補を抽出した点は、早期の重症度評価や病態理解に資する知見といえます。

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