大腸腺腫血清診断指標候補

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出典:論文ページ

今回紹介するのは、大腸腺腫の血清診断マーカー探索を狙った定量プロテオミクス研究です。健常者、非腫瘍性の炎症性ポリープ患者、腺腫患者の血清を対象に、LC-MS/MS による網羅的解析を行い、ANOVAによるp値スクリーニング、sPLS-DA、LASSO回帰を組み合わせた多段階選抜で差次的発現タンパク質を絞り込みました。2つの独立コホートで候補を抽出し、さらに第三のコホートでELISA検証を実施して、臨床的有用性を評価しています。

主な結果として、アポリポタンパク質A4(APOA4)とフィラミンA(FLNA)が候補となりましたが、ELISAではAPOA4がLC-MS/MSの傾向と一致せず、一方でFLNAは健常者から炎症性ポリープ、腺腫へと段階的に低下するパターンが再現されました。診断性能はROC解析で、腺腫対健常のAUC 0.810、腺腫対炎症性ポリープで0.734を示し、FLNAが非侵襲的スクリーニングに資する血清バイオマーカー候補である可能性を示唆します。本研究は大腸腺腫における血清プロテオームの理解を深めるとともに、前がん病変の早期検出に向けた実用化の足がかりを提供しています。

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