口腔疾患オミックスの診断治療

今回紹介するのは、歯学領域におけるオミックスの最新動向を整理したナラティブレビューです。う蝕、歯周病、口腔扁平上皮癌を主題に、ゲノミクスでは疾患関連遺伝子変異やポリジェニックリスクスコアの活用、トランスクリプトミクスでは免疫制御異常や腫瘍内不均一性を反映する発現シグネチャの同定がまとめられています。プロテオミクスとメタボロミクスは、診断・予後に有望なタンパク質および代謝物バイオマーカーの探索に寄与しており、疾患理解と臨床応用の橋渡しに位置づけられます。

本レビューの要点は、これらのデータを統合するマルチオミクス枠組みが、口腔疾患の病態を全体像として捉え、データ駆動型の精密歯科医療(診断・予防・治療最適化)に資するという展望です。一方で、早期診断ツールや個別化予防・標的治療への臨床実装には、標準化や検証、実用上の制約などの課題が残ることも指摘されています。質量分析を基盤とするプロテオミクスの発展と、転写・ゲノム・代謝情報との統合が、今後の口腔疾患研究と臨床応用のキードライバーになることが示唆されます。なお、本レビューでは特定のMS機種名やLCメソッド、Evosepの使用有無には言及がありません。

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