今回紹介するのは、競走馬のトレーニング適応とピーク負荷を血漿プロテオームから読み解こうとした縦断研究です。アラブおよびサラブレッド計49頭を対象に、初期トレーニング(T1)、シーズン中のコンディショニング(T2)、レース期(R)の各フェーズで、安静時・運動直後・回復後の血漿を採取し、合計314検体をTMT(tandem mass tag)定量とOrbitrap質量分析で解析しました。多重検定補正(q<0.05)で有意な変動蛋白を抽出し、STRINGやShinyGOで経路解析を実施。LC法の詳細は抄録に明記されておらず、Evosep使用の記載もありません。
結果として、フェーズ依存の明確なプロテオーム応答が示されました。T1では炎症(S100A8/A9)、抗酸化(SOD1、カタラーゼ)、代謝(G6PD、PGK1)の広範な活性化が見られ、T2ではデコリンやチモシンβ4、グルタチオンS-トランスフェラーゼなどリモデリングとレドックス調節に収れん。レース期Rではエネルギー代謝、酸化防御、細胞骨格適応に関わる100種超のタンパク質が上昇し、最も強い応答を示しました。S100A8、チモシンβ4、プロチモシンα、コフィリン1、リポカリン群などは各期を通じて一貫して変動し、トレーニング状態やピーク負荷の指標候補として有望です。品種バランスや追跡採血の欠損といった限界はあるものの、標的アッセイによる大規模検証が進めば、運動適応・疲労管理の新規バイオマーカー群として競走馬のコンディショニングに資する可能性が示されました。

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