
今回紹介するのは、加齢に伴う膵β細胞機能不全の機序を、統合プロテオミクスとメタボロミクスで解明しようとしたマウス研究です。若齢群4匹と高齢群4匹で膵島機能指標を測定し、膵臓中の内因性タンパク質と代謝物をLC-MS/MSベースのプロテオーム解析・メタボローム解析で網羅的に同定・定量、統合データ解析を行っています(MS機種やLC条件の詳細は抄録に記載なし)。
結果として、高齢マウスでは空腹時血糖とHOMA-IRが上昇し、HOMA-βは低下しました。プロテオミクスでは3,795タンパク質を定量し、そのうち57が上昇、50が低下、メタボロミクスでは46が上昇、19が低下と判定されました。統合解析からは、アルギニン生合成やペントースリン酸経路を含む6つの有意な経路が関与し、特にアルギニン生合成関連のアスパラギン酸とグルタミンが加齢表現型および膵島機能と関連することが示唆されました。これらの所見は、高齢マウス膵臓でタンパク質と代謝物の同時的な乱れが生じること、ならびにアスパラギン酸とグルタミンが加齢関連膵機能障害のバイオマーカー/治療標的候補となり得ることを示しています。

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