
今回紹介するのは、肝細胞癌(HCC)の代謝におけるmiR-423-5pの役割を明らかにするために行われたプロテオミクス研究です。HCCは診断および治療の選択肢が限られているため、重要な臨床課題となっています。研究では、miR-423-5pを安定的に過剰発現させたHCC細胞株を用い、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/M)によって全タンパク質を解析しました。その結果、698の差次的発現タンパク質(DEP)が同定され、特にプリンおよびピリミジン代謝、グルコネオジェネシスに関連する代謝経路が有意に豊富であることが示されました。
さらに、bioinformatics解析を通じて、miR-423-5pの直接的なターゲットとして43のDEPが特定され、その中の7つのタンパク質がTCGA-LIHCコホートにおいて患者の予後と有意に関連していることが確認されました。これらのタンパク質は、miR-423-5p過剰発現細胞ではダウンレギュレーションされている一方で、進行したHCC組織ではアップレギュレーションされており、miR-423-5pがHCCの進行において重要な調節因子であることを示唆しています。
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