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    血漿プロテオームとN型グリコプロテオーム同時解析

    今回紹介するのは、単一アリコート・濃縮不要で血漿プロテオームとN型グリコプロテオームを同時に高スループット解析するデュアルオミクス基盤です。上位14種の高豊富性タンパク質を除去後、同一消化試料から23分の狭窓DIAと42分のSCE-DDAを連続実行するペアラン設計により、臨床スループットは約24例/日を達成。1検体あたり3,756±413のタンパク質群と1,226±78のグリコペプチドをカバーし、その中にはFDA承認薬標的が303含まれます。旧世代機とのクロスプラットフォーム比較では、113 PGs/分の速度で10~20倍以上の高速化と、タンパク質量の高い再現性(Pearson r > 0.9)を示し、装置間での移植性を実証しました。

    臨床応用では、肺がん・低線量CTで検出された非がん結節・対照を含む300例の血漿解析で、がんと結節間でS100およびアネキシンファミリーに差が見られました。さらに、30例で実施したペアのグリコプロテオミクスでは、FN1、IGHG2、C3、METにおける部位特異的N型糖鎖修飾の変化を、総タンパク量とは独立して検出し、早期肺がん検出に向けた追加の候補バイオマーカーを提示しています。本手法は、深いカバレッジとスケーラビリティ、縦断的再現性を両立し、装置・施設をまたいだ臨床バイオマーカー探索と検証を後押しします。

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    膠芽腫テモゾロミド早期応答とペプチド抗原

    今回紹介するのは、グリオブラストーマ(GBM)に対する標準薬テモゾロミド(TMZ)が投与後早期に引き起こす細胞内応答を多層オミクスで横断的に捉えた研究です。RNAシーケンスと定量LC–MS/MSを組み合わせ、曝露後72時間以内の遺伝子発現、新生タンパク質翻訳、定常タンパク質量、キナーゼ基質レベルのリン酸化パターン、さらにMHC-Iペプチド提示(免疫ペプチドーム)までを一体的にプロファイルしました。

    解析の結果、DNA損傷シグナリングとp53関連ストレス経路が迅速に活性化し、タンパク質合成や抗原提示が動的に変化することが判明しました。特にTMZ治療関連ペプチド抗原(TAPA)群を同定し、ストレス応答由来のペプチドやリン酸化MHC-Iペプチド、放射線など他の遺伝毒性処置でも誘導されるペプチドを含むこと、さらにその一部が再発GBM患者腫瘍でも検出されることを示しました。これらの知見は、TMZが適応的かつ潜在的に耐性につながるストレスプログラムを早期に作動させる一方で、腫瘍の免疫可視性を高めうることを示唆し、TMZと免疫認識を強化する治療との併用に適した時間的“窓”の存在を示すとともに、遺伝毒性治療が腫瘍免疫原性をどう変えるかを解剖する汎用的フレームワークを提示しています。

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    クエシャンとユノン黒豚の風味差

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    出典:論文ページ

    今回紹介するのは、Queshan(確山)黒豚とYunong(豫農)黒豚の風味の違いを、マルチオミクス解析で解き明かした研究です。著者らは複数のオミクス層のデータを統合し、両系統の間で風味に関与する分子レベルの特徴を体系的に比較しました。

    その結果、各系統に特徴的な分子的シグネチャーが示され、風味差の背景にある生物学的基盤が可視化されています。これらの知見は、風味を重視した品種選抜や客観的な品質評価に向けた指標づくりに役立つことが期待され、黒豚製品の価値向上に資する科学的根拠を提供します。

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    微小免疫細胞単一細胞プロテオミクス

    今回紹介するのは、単一細胞プロテオミクスの深度と再現性を大きく押し上げたラベルフリーSCPプラットフォームです。低入力向けに最適化したサンプル前処理、精緻化した液体クロマトグラフィー、そしてOrbitrap Astral Zoom質量分析計を統合し、個々のHeLa細胞から平均で7,000種超のタンパク質を定量化。これまで捉えにくかった低豊度タンパク質も多数カバーし、深度と再現性の両立を示しました(LCの具体的メソッド名は記載なし、Evosep使用の言及もありません)。

    本手法を非常に小さな末梢血単核球(PBMC)に適用すると、単一細胞あたり最大約4,000タンパク質を同定し、ヘテロな集団内で単球、T細胞、活性化リンパ球を識別する鍵マーカーも検出。臨床的に重要な一次サンプルに対しても、深い網羅性と精度で機能的ヘテロ性を直接読み解ける段階に到達したことを示しています。

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    一次性FSGSのプロテアーゼ恒常性異常

    今回紹介するのは、原発性巣状分節性糸球体硬化症(pFSGS)の血清プロテオームをLC–MSで精査し、疾患特異的シグネチャーと病態機序の手掛かりを示した研究です。研究チームは、pFSGS 36例、他の蛋白尿性腎疾患33例、健常対照34例の計103検体の血清をLC–MSベースで解析し、見出した候補タンパク質を不死化ヒトポドサイト培養系で機能検証しました。さらに、ゼブラフィッシュ幼生での全身性ノックダウンと、患者腎生検および魚類切片での蛍光免疫染色により、蛋白尿や浮腫などの表現型と組織局在を確認しています。

    結果として、pFSGSに特異的に変動する27種類のタンパク質が同定され、プロテアーゼとそのインヒビターの恒常性破綻が中核にあることが示唆されました。頻回再発を呈する若年pFSGS患者では、23種類のタンパク質からなる別個の血清プロファイルも明らかになりました。中でもSERPINA1(α1-アンチトリプシン)に注目し、尿中SERPINA1はネフローゼ症候群全般で上昇する一方、血清SERPINA1の低下はpFSGSに特異的であることを示しました。糸球体の硬化病変ではSERPINA1の局所発現が増加し、ポドサイトはSERPINA1を構成的に分泌するものの、プロテアーゼストレス下での適応は限定的でした。ゼブラフィッシュでのserpina1ノックダウンは浮腫と蛋白尿を誘発し、プロテアーゼ制御破綻がpFSGSの病態に関与することを支持します。これらの所見は、pFSGSの層別化やバイオマーカー開発、さらにはプロテアーゼ—インヒビター軸を標的とした治療戦略の設計に資する基盤データといえます。

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    炎症性腸疾患試料mzML

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    出典:論文ページ

    今回紹介するのは、QuantMS Nextflowパイプラインでの前処理を学ぶことを目的に設計された教育用プロテオミクスデータセットです。The Inflammatory Bowel Disease Multi-omics Database由来の3サンプル(non-IBD: 160914_9SD9G、UC: 160920_AKTWT、UC: 160928_6ZEWG)からの質量分析データが、mzML形式で提供されており、測定はThermo Scientific Q-Exactive Orbitrapで行われています。

    本データセットは、QuantMS Nextflowへのデータインポートから前処理工程の理解までを体系的に学べる構成となっており、学生や研究者の実習に適しています。LCメソッド名やEvosep使用の有無は抄録では明記されていませんが、mzMLを直接扱えるため環境依存性が低く、パイプライン操作と前処理手順の習得にフォーカスできる点が特徴です。

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    家兎動脈硬化巣の分子指標

    今回紹介するのは、ウサギ腹部大動脈のアテローム性病変を対象に、TMTラベル化定量プロテオミクスとLC-MSによる非標的メタボロミクスを統合した解析でプラークの分子像を描き出した研究です。モデル群とシャム群にランダム化した後、腹部大動脈を回収しproteinase Kで処理、取得データを一変量・多変量統計で評価し、差次的タンパク質と代謝物の相関をPearson相関で解析、関与経路はKEGG富化で推定しています。

    結果としてモデル群では進行したプラークが形成され、損傷大動脈では207種のタンパク質が有意に変動(上昇133、低下74、fold change>1.2、P<0.05)。代謝物は陽イオンモードで234、陰イオンモードで187が有意に変化し、脂質ではPC(9:0)やLPC(20:2)の増加が目立ちました。KEGG解析からはプリン代謝や血管平滑筋収縮などの経路が示唆され、タンパク質・代謝物の連関が病変の機能的背景と結び付けられています。これらの所見は、統合オミクス(TMT定量プロテオミクス+LC-MSメタボロミクス)がアテローム硬化の分子特性解明に有用であり、同定分子がプラーク診断のバイオマーカー候補となり得ることを裏付けます。

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    ヒストン修飾の定量プロテオミクス手法

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    今回紹介するのは、ヒストンの翻訳後修飾(PTM)を定量的に解析するプロテオミクス手法を扱った研究です。ヒストンは真核生物でDNAをヌクレオソームとして折りたたむ核内タンパク質で、アセチル化、メチル化、リン酸化など多様なPTMを受けます。これらはDNA複製や転写、クロマチン組み立てに不可欠で、がんを含む疾患発症に伴い大きく変動することがあります。例えば、H4K20のトリメチル化の消失やH4K16のアセチル化の変化は、特定のがんでの腫瘍マーカーとして知られています。

    本研究は、抗体依存のウエスタンブロットやChIPなど従来法が抱える特異性・抗体入手性・コスト・検証の課題を背景に、質量分析(MS)にもとづく定量解析の開発と応用を示しています。MSは高い特異性と再現性をもち、単一の解析で幅広いPTMを同時に評価できるため、ヒストン修飾の網羅的な特徴づけと定量を可能にします。本論文は、こうしたMSベースの手法によって、疾患進展と結びつくヒストン修飾のダイナミクスを捉えるための有用な解析基盤を提供する点に意義があります。

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    肝細胞癌フコシル化四分岐糖鎖統合解析

    今回紹介するのは、肝細胞がんにおけるフコシル化テトラ型グリコフォーム(fucosylated tetra glycoforms)を対象に、NanoLC-PRM-MS/MSと機械学習を組み合わせて統合解析した研究です。ナノスケールのLCとPRMベースのMS/MSにより、標的とするグリコフォームの選択的検出・定量データを取得し、その多次元情報を機械学習で統合・解析してパターンや特徴量を抽出する設計が示されています。

    主な成果として、フコシル化テトラ型グリコフォームのプロファイルを体系的に描き出し、機械学習により肝細胞がんに関連する情報を含む特徴を抽出できることを示しています。これにより、フコシル化グリコフォーム変動の把握に基づくバイオマーカー探索や病態理解に向けた実験・計算融合型ワークフローの有用性が示唆されます。MS機種名や特定のLCメソッド、Evosepの使用有無は本情報からは明らかではありません。

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    アルツハイマー病ラット脳髄液血液代謝指標

    今回紹介するのは、TgF344-ADラットを用いて脳・髄液・血漿を横断的にLC-MSで解析し、アルツハイマー病の進行段階に応じた代謝シグネチャーを描き出したメタボロミクス研究です。前頭皮質と海馬の脳組織、脳脊髄液、血漿を対象に、7カ月齢ではTgF344-AD(雄)8匹と野生型8匹を比較し、4つのマトリクスで計710種の分析的に堅牢な代謝物を特定しました。さらに同様の手法を22カ月齢のラット12匹にも適用し、疾患の早期と進行期をまたいだプロファイル変化を評価しています。

    結果として、早期(7カ月齢)と進行期(22カ月齢)で、中央(脳)と末梢(髄液・血漿)のいずれにおいても代謝プロファイルと変動する経路が異なることが示されました。7カ月齢では主にアミノ酸代謝と脂質代謝の乱れが際立ち、22カ月齢ではアミノ酸・脂質に加えてヌクレオチド代謝にも及ぶ別様の指紋が現れます。これらの所見は、病期に応じた診断指標の探索や、ステージ特異的な治療戦略の設計に資する手がかりを与えるものです。なお、分析はLC-MSに基づくメタボロミクスで実施されていますが、特定のMS機種名やLCメソッド、Evosepの使用有無についての記載はありません。

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